繭 玉 抄

    林田麻裕

私って心にリュックしょっている誰も置く場所教えてくれない

 

花愛すのは人だけと言うけれど犬の目いっぱいのいぬふぐり

 

快適な音楽だけがラジオから有給休暇の父が溶けるよ

 

フランス語会話の本を取りがちだスカートはいて図書館行けば

 

 あの人は来はる食べはる飲まはるで京都の人は春が好きだな

歌仙「立春や」の巻

                     連句部(おーたえつこ・辻 水音・波戸辺のばら・つじあきこ)  

                             消しゴム版画 辻 水音

立春やぼちぼちおでかけする用意       えつこ

 若草に置くランチボックス         水音

麗らかで卵焼きちょと甘めにて        のばら

 送迎のバス窓少し開け           あきこ

空見上げ一節歌う月の客           えつこ

 老人の日の老人クラブ           水音

薄揺れグランドゴルフブービーで       のばら

 口紅の色変えたのかって          あきこ

どうなのよこんな夜中に来いなんて      えつこ

 湾を離れる遠洋漁船            水音

丸いねと青い地球儀回してる         あきこ

 机の傷に君の苛立ち            のばら

夏の月校長室のうす明かり          水音

 ヒマラヤめざすキャンプの焚火       えつこ

あっゴリラハンギングチェア押している    あきこ

  親族みんな絶壁頭             のばら 


花人のひとりとなって赤ん坊         あきこ

 囀りのなか公園デビュー          のばら

四月馬鹿貯金こつこつ始めたい        水音

逃亡先のフィリピンの獄          えつこ

深海へ捨てよ病気も戦争も          あきこ

 進めています生前整理           のばら

色あせて柳行李のちゃんちゃんこ       水音

 楽屋裏から寒弾きの声           えつこ

階段を上れば辻利抹茶パフェ         あきこ 

 あの人の乗る列車待つ朝          のばら 

腹の虫さかんに鳴るを恥じらいて       水音

 ろくろっくびの手はちゃぶ台へ       えつこ

月光を浴びてどぶろく熟成す         のばら

 神に供える真っ赤な林檎          あきこ

魔女役のジュリア・ロバーツにんまりと    えつこ

 ロールスロイス現金払い          水音

自画像の目力強し無言館           のばら  

 合唱響き連翹光る             あきこ

本堂に並んで座禅花の昼           えつこ

 白鳥帰る清浄の峰             水音       


季湖さんの写真俳句

    今月も素敵な写真俳句を送ってくれました。

      膝蓋骨が折れて大変だったのにありがとう。

      日頃運動しているから、予定より二週間も早く装具を外しリハビリをしたそう。

      仕事にも復帰しているらしい。無理はしないでね。

おまけ

  自由に歩けない季湖さんが、部屋から撮った写真。

  「外に出られないので家の中から撮りました。

   小鳥が来てると思った。」とのこと。

 

  動画は本当に小鳥でした。動画をアップ出来なくて残念。