辻 響子さんから

   句集「団栗が降るまでローズヒップティー」が

   送られてきました。

   新年・春・夏・秋・冬に分かれていて

   素敵な絵と俳句が載っています。

   ご本人の承諾を得て、ここに載せることにしました。

 

   上の春の絵に添えられた俳句は下記です。

 

牧開光りの小川飛び越える

囀りや羽衣のよな靴だもの

たも網で春風その他掬ひ採る

揚げ立てのスミレ蒲公英振るまへり

春を食ふポテトサラダのポの部分

もやもやをモジャモジャなぞり桜描く

春の日のアクリルカラーぎゆつと絞り

   辻 響子

  

  そよそよと花かたばみのやうな人

 

  鐘楼を縄張りとして恋の猫

 

  春の日を飛石飛んで隣町

 

  のけぞりて眠る児の夢花曇

 

  ゴミの日のボンボンベッド春がゆく

 

    辻 水音

 

 

    木々の間を漏れゆく春の灯しかな

 

    春宵やみにくく腫れし薬指

 

    ひとり娘よ空から桜見てをるか

 

    ベランダに花びら遊ぶ月命日

 

    痛むのはゆびかたこころ桜しべ

 

       はしもと風里


     

   花筏さみしい声のする方へ

 

   おとといの花盗人を無罪とす

 

   百千鳥ひとり歩きに慣れました

 

   竪琴は春のビルマに置いたまま

 

   アレクサはボクの友達鳥帰る

 

         波戸辺のばら

                写真 のばら  豆の花

 

  心地よく騙されてをり鷹鳩に

 

  湖風山風出会うてけふの飛花落花

 

  ルーティンの不意に寂しき四月かな

 

  味噌舐めてケチャップ舐めて母うらら

 

  蒲公英の絮もう行つてしまふのか

 

     松井季湖   写真 季湖

  鷹化して鳩と為り茶道がしたい

 

  桜の花に近寄らないか車椅子

 

  春セーター被って地図帳に夢中

 

  春疾風翼曲がってしまいそう

 

  暮の春笑顔の音が似てきたね

   

     林田麻裕

   逆さまに春ですキューピーマヨネーズ

 

   恋猫に一瞥されて春の路地

 

   蝶々もうクスリが切れてくる時間

 

   茎立ちの花揺れ午后のアールグレイ

 

   春がゆく青い歯ブラシ残る窓

 

       火箱ひろ


 

       

  花の森ユニコーンの群れくるりくるり

 

  電話からこぼれるふふふ春の夜

 

   窓をひらこう今宵は春が踊り出す

 

   たまごパンちうを買いたい日永かな

 

   春深くお菓子のお城組み立てて

 

         おーたえつこ

              写真 えつこ  チューリップの中の虻

 

 

  

  

  海の香とつぶやく弟花の雨

 

  おしっこをかけられちゃった初蝶に

 

  頑丈な嘘がパチンとアッ四月

 

  真っ新の鉛筆削る春夕べ

 

  制服に顔がなじんで花くもり

 

     たかはしすなお  

         写真 すなお  牡丹のつぼみ 

  

 

  よく晴れてタンポポの絮吹くところ

 

  花冷えのうしろに高く小学校

 

  春セーター鎖骨の辺りくすぐられ

 

  コーヒーの香の立つ方へ春闌ける

 

  燕来る五六羽そして新井君

 

      つじ あきこ

          写真 あきこ たんぽぽ