透き通る素足が踊るベリナオアフ
語尾あげるクセが抜けないクツワムシ
花芙蓉無線LAN機器熱をもつ
新涼や鳥語虫語を聞きわける
送り火やひとりふたりと腕を組む
たかはしすなお
好きだつた男先生風涼し
水面まぶしき廃校のプールかな
海図広げてまひるまの黒ビール
今朝秋の足を放るる足枕
式部の実ご先祖さんに絡みもす
辻 水音
夏が行く窓辺あっくんのボール
秋夕焼ゆたゆたわたし魚になる
人想うこころは湖の月に似て
石段の蹴上の高さ盆の道
遠い日のかなかな夕暮れを急ぐ
つじあきこ
写真 あきこ 花脊のオオハンゴウソウ（特定外来生物）
月涼ししづかに放つ恋ごころ
夫のほかに恋ふひとはなし夕立風
夏の雨手首の香水が匂ふ
夢に泣き目覚めた朝の芙蓉かな
心中にいま在る不安酔芙蓉
はしもと風里
ラブレター募集中です草雲雀
白線をモデル歩きや秋の朝
どん突きは空家ですねん花木槿
秋の薔薇とにらめっこして駐車する
ブドウ食べポリフェノールの味のキス
林田麻裕
木のベンチ君の不在が乗る晩夏
診察券一枚増えて終戦日
蜩の中すれ違うロープウェイ
人思うときマスカット陽に透ける
空色の長靴露草を踏んで
波戸辺のばら
写真 のばら 天橋立
裸婦像の脚腰立派日の盛り
象の背にぽつぽつぽつん夕立来
ふるさとの吊り橋揺らそ夏行かそ
夏が行く君と樹海へ行くバスに
忘れてもいいよかなかなかなかなかな
火箱ひろ
大好きをぶち上げピンクのソーダ水
夕焼けのシャワーを浴びて二人きり
ナイターのオーロラビジョンご近所さん
恐竜の咆哮のようにスコール
遠雷の届けば嬰の口ひらく
おーたえつこ
炎帝に手をかざす着ぐるみパンダ
蚊帳越しに見るお岩さん出るところ
百日紅ゆれて辞めたくなる母業
ヒロシマの四文字で通ず原爆忌
小鳥来る今日からひとつ屋根の下
松井季湖
写真 季湖
